読書
白い花が雨で濡れ、茶色く腐っていく。 「卯の花腐たし(うのはなくたし)」という、春の雨を表す言葉があるのを知ったのはいつだったか。季語を調べていたときのことだったと思います。腐らせるというネガティヴなことばのはずなのに、なぜか美しいことばだ…
『自分ひとりの部屋』…このタイトルに惹かれて買いましたが、読むうちにどんどん惹きこまれてしまいました。読み終わると「部屋」の意味するところが変わってしまうほどに。 作者のウルフは今から100年前のイギリスの女性作家です。『ダロウェイ夫人』『灯台…
お題「好きな作家」 わたしがもっとも好きな作家、池澤夏樹氏、39歳のときのデビュー作です。ずいぶんとひさしぶりに読み返して、あらためて紹介したくなりました。30年前の著書ですが、まったく古さはありません。現代社会への深い内省が、みずみずしい自然…
池澤夏樹さん個人編集の『日本文学全集』もついに3冊目に。 ※名作なので今さら過ぎる感じもありますが、ちょっとネタバレしています。 川上未映子氏による、樋口一葉『たけくらべ』の現代口語訳です。江戸情緒を残しながら明治へと移り変わる影絵のような花…
Facebookは長文が向かないなあと思いつつ、絵のことを書いていると、どうしても長くなってしまう。そこで今さらなのは承知の上で、展覧会とかの忘備もかねてブログを始めてみた。 それで、ぼんやりと、山ねこのことを考えていた。 賢治の作品の登場人物(猫…